私は昭和44年に三重大学の林学科を卒業した。
大学の4年間でもっとも影響を受けたのは、森林生態学を教えてくださった矢頭献一先生である。
私の卒業論文は「伊勢神宮常緑樹林の生態調査」で、そのご指導もいただいたが、
それよりなにより、植物のことを好きになるきっかけをつくってくださったのが矢頭先生である。
大学一年生前期の専門教養のカリキュラムが「樹木学」であり、
その担当が矢頭先生、内容は植物採集と標本づくりであった。
週1回の午後の授業で、キャンパス近くの森や林、神社の境内や田畑あるいは海岸を、
胴乱*と剪定バサミをもって歩く。 〈*・・・ブリキでできた植物を入れる器〉
先生が説明してくださる樹木の名前や性質、人とのかかわりや故事来歴などをメモする。
枝を下宿に持ち帰って新聞紙にはさみ、乾燥標本をつくる。
高校時代は受験のための勉強という色彩が濃かったので、この野外での学習はとても新鮮であり、
授業が進むにしたがって植物のことがどんどん好きになっていったのである。
昨日、教育委員会に依頼されて、瑞穂区の小学校で社会人による特別授業をさせていただいた。
3年生の子どもたちと学校林の木の名前を覚える。「木と友だちになろう!」という野外授業。
この体験がきっかけになって、ひとりでもふたりでも木のことが好きになってくれたらと願う。
今日は、古くて新しいお話しをさせていただきました。

