“根ざす地の 温みを感じ いちはやく 空いろ花咲けり みちばた日なたに”
“夕づける 風冷えそめぬ みちばたの 空いろ小花 みなみなつぼむ”
白樺派の代表的歌人、木下利玄(りげん:明治19年ー大正14年)の歌である。
歌の中に花の名前は出てこないが、間違いなくオオイヌノフグリのことであろう。
この植物は、小型のハナアブなどによる受粉が終わると1~2時間で花を落とす。
昆虫が来なくて受粉が叶わなかった花は、夕方になると雌しべを包むように閉じてしまう。
明治・大正の時代は帰化して間のないころなので、まだ日本名が付いていなかったのかもしれない。
この歌人の優しいまなざしは、名も知らぬ小さな雑草の特徴を見事に描写している。

《オオイヌノフグリの拡大写真 実物の花は1センチにも満たない》
