アイルランドの西海岸は、まだ地球が丸いと知られていなかった時代には地の果てと思われていた。
陸地は、高さ約200mもの岩の絶壁で終焉し、その先は荒海である。
大地を構成する岩は石灰岩、風化した砂や腐葉土は強風に吹き飛ばされて植物を育む土壌がない。
わずかに岩の割れ目に溜まった土だけが植物のよりどころである。
石灰岩の台地を、延々4時間も歩いた。寒くて荒涼とした風景である。
気温が高く雨量も多い日本のように、放っておいても森林が成立するところとは大違いである。
遠方に見えるのはアラン諸島。縄編みのセーター「アラン模様」を知る人も多い。
荒海に漕ぎ出した夫が遭難したときに、セーターの模様で見分けるという悲しい物語の島である。

《石灰岩を積み上げたケルン くたびれた姿で歩いているのが私》
