昭和34年9月26日、私が中学1年生だったその日のことは、一生忘れることができない。
愛知・名古屋に未曾有の大被害をもたらした、あの伊勢湾台風が襲来した日である。
当時はラジオからの天気予報だけが頼りだったとはいえ、とてものんびりしたもので・・・
夜半からの台風が分かっていたと思うのだけれど、午後の授業は映画館での名画鑑賞であった。
学校から映画館までの途中、掘り割りの土手に真っ赤なヒガンバナが不気味に咲いていたのである。
映画は「コタンの口笛」、アイヌの少年の生活を描いた作品である。主演は山内賢だったと思う。
私の住む半田市亀崎では、海岸沿いの家屋がたくさん流失したが、幸いにも犠牲者は出なかった。
悲惨な情景といっしょに思い出される花ではあるが、この花自体は嫌いではない。

《曼珠沙華とも 土手や畦など人の手の入った所に生育する》
