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会員さま謝恩特別ツアーレポート NO.14

ブルーボネットの会 会員さま謝恩特別ツアーレポート 番外編

今回、訪問させていただいた3つの施設のうち、「ローザンベリー多和田」は、9月にOPENしたばかりの庭園ですので、ブルーボネットのスタッフにも未見学の者がたくさんいます。そのスタッフへの紹介用に庭園の「手法」について考えることができるような写真(味気ない写真です)も数枚撮影してきました。
「本編」では、ご参加いただいた皆さまの、楽しそうな写真を掲載させて頂きましたが、せっかくですので、庭園手法紹介用に撮影した写真の一部を、今回のレポートに「番外編」としてご紹介いたします。
「楽しい旅行」の写真ではありませんが、どうぞご覧くださいませ。

「ローザンベリー多和田」のお庭も、他の2箇所同様、単なる「植物好き」だけで造れるものではありません。樹木や草花等の選定や配植の他にも、造園的な構造物、門扉、舗装、石組み、レンガ積み、各種オブジェにも細心の気配りがなされていました。
作庭の基本は、「私の多和田物語」(大澤恵理子著/パレードブックス)に書かれているように、『私は多和田の庭を定規で線を引いたような庭にしたくありませんでした。イングリッシュガーデンやナチュラルガーデン、日本庭園という既成のイメージや形式に囚われないオリジナルの庭、年間を通して四季折々の美しさがある庭、そして雰囲気があり大人の感性を満足させる庭を造りたかったのです。』というものです。
数え上げればキリがありませんが、気がついた点を自分なりに勝手に解釈してみました。
実際に作庭された大澤様から直接おうかがいしたわけではないので、私の勘違い、間違いもあるでしょうし、この解釈に対し「私はそうは思わない。」という方もいらっしゃると思います。また「お庭は、五感と心で味わうもの。ヘリクツは必要ない。」という方もいらっしゃると思いますが、どうかご容赦くださいませ。

  • SHOPから外へ出たところの乱張の石舗装。こまめに刈り込んだ緻密な芝生と淡色の石舗装がとてもマッチしている。舗装端部は直線、または美しい曲線となっており、建物(SHOPやカフェ、レストラン)に囲まれたこの庭は、人工的で都会的。とても「お洒落」な雰囲気が感じられる。

  • 奥行きを活かした直線と左右対称、等間隔に置かれたコンテナ。きちっとした整形式で、フォーマルな印象。整然と並べられたピンコロ石の舗装は端部をそろえず、凹凸を芝生で留めてあり、フォーマルな中にも柔らかさが感じられた。施設の動線は「都会的」な庭園、「フォーマル」な庭園を見たその後に「自然的」な庭園や広々とした農園に入っていくことになる。その心理的効果も考慮されている。

  • アイアンとレンガの門扉。獣のオブジェとランプが、とても大人の雰囲気を出している。入り口付近は広く明るい。門扉足元にさりげなく置かれたコンテナが、入り口の水平・垂直・直線・左右対称というシャープな印象を心地よく和らげる。

  • 枕木園路。直線で大きな素材である枕木をうまく組み合わせた自然な曲線園路となっている。枕木は加工するのが困難であるが、木材としては耐久性がとても高い。

  • 自然石敷き。枕木の主園路から離れる小路は舗装を変えてある。舗装によって庭の雰囲気は大きく変わる。

  • 不要になった構造物(タンク)が庭園の景観を乱すため、バラを誘引して目立たないようにしてある。見る人の意識はバラに向けられ、うっかりすればタンクがあることさえ知らずに通り過ぎるほどの効果がある。遮蔽植栽は、隠したいものを全て覆うのではなく、隠したいものから「見る人の意識を外す」工夫が大切。

  • 破砕した枝葉のマルチングと砕石園路の境界に、樹木の幹・枝を使用している。細長い通路であるがとても自然な小路に感じられる。

  • 土管とブタのオブジェ。反対方向から歩いてくると見逃してしまうが、教えてもらうよりも、庭園散策中に自分で見つけると喜びが何倍にもなる。周囲が綺麗で派手な草花ではなく、グラス類であるところがポイント。

  • 枕木による植栽枡。人工的だが自然素材であるため違和感がない。

  • 枕木による植栽枡。人工的だが自然素材であるため違和感がない。

  • 井戸のオブジェ。本当の井戸ではないが、花の目立たないコニファー類の緑の中に、赤レンガのオブジェがとても楽しい雰囲気のアクセントとなる。

  • 池に面したデッキは園路と統一された枕木が使用されている。柵にも安定感があり安心して池に近づくことができる。

  • リンゴのエスパリア。庭の外側に長距離にわたり、とても綺麗に仕立ててある。花の時期、緑の時期に是非見てみたい。道向かいのカイズカイブキが赤星病の原因になっているとのこと。とても惜しまれる。

  • リンゴのエスパリア。庭の外側に長距離にわたり、とても綺麗に仕立ててある。花の時期、緑の時期に是非見てみたい。道向かいのカイズカイブキが赤星病の原因になっているとのこと。とても惜しまれる。

  • イギリス人技術者の手による木柵。日本では見られない柵の作り方。釘も特殊。木材、石、レンガ等の自然素材の材料は「時間」をデザインし、「エイジングの美」を表現してくれる。日本人も風雨にさらされ白くなった木材や、さらしの竹、寂びた石、苔むしたレンガ等、「時間」を感じさせてくれるものに魅かれる。侘び寂びにも通じる。

  • 枕木と石を楽しく使った園路。不思議と「この上を歩いてみたい」という気になってしまう。

  • シャガ一面の植栽にアクセントとして壁を立ててある。園路の両側にある壁と、奥の突き当たりの壁によって、とても深い奥行感を出している。樹木のトンネルや、並び方を変化させない枕木園路がその奥行感をいっそう深いものにしている。

  • レンガ舗装。イギリスの木柵とレンガ舗装は、よく似合う。

  • 日本の伝統技術である「竹垣」と洋風イメージである「枕木園路」の組み合わせに違和感がない。竹垣は日本の職人技。曲線も美しく仕上げられている。その園路から見えるのは和にも洋にもマッチするシャガやギボウシ等の植物。

  • 日本の伝統技術である「竹垣」と洋風イメージである「枕木園路」の組み合わせに違和感がない。竹垣は日本の職人技。曲線も美しく仕上げられている。その園路から見えるのは和にも洋にもマッチするシャガやギボウシ等の植物。

  • 現地発生の大きな石を使った石組み。石の天端を平らに揃えての組みかたは西洋に多いが、水の流し方は和の自然風。和風な流れの向こうには綺麗な弧を描くレンガ積み。和洋にこだわらない美しさが見られる。

  • 枕木を使った「八橋」風の橋。ここでも和洋がうまくマッチしている。

  • 枕木と、レンガと飛石がテンポよく変化する。歩いていてもとても楽しくなる。

  • レンガ積みの目地に合わせて張ったワイヤーは、目立つことなく植物を誘引している。

  • レンガ積みのバラのパーゴラ。上部の梁は「粗野で荒々しい」感じにするため、大澤様ご自身で加工されたとのこと。ここのベンチは花期には絶好の記念写真撮影スポットになるのでは。

  • 芝生の刈込み高さを変えることによって、園路を創り出している。たったこれだけの段差でも歩行者は園路の中を歩く。分断する構造物がないので、芝生がとても広く感じる。

  • 明るく平坦な芝生地に、高さのあるオベリスクがアクセントとなっている。

  • 主要出入り口はアイアンの門扉。全てデザインの違う鍛鉄製のオリジナル。

  • 主要出入り口はアイアンの門扉。全てデザインの違う鍛鉄製のオリジナル。

  • アーチとガゼボ。ここも写真撮影スポットに最適。

  • 水詮柱も、ちょっとした工夫でとても味のあるオブジェに変身。

  • 設置してある植物名板は、大澤氏の手書き。落ち着いた色で花の魅力を損なうことはなく、とても上品な感じ。

  • 古びたコンクリートミキサーや一斗枡のコンテナ利用。ここでも「エイジングの美」を演出。

  • 古びたコンクリートミキサーや一斗枡のコンテナ利用。ここでも「エイジングの美」を演出。

一般家庭のお庭でもできることはあるはず。是非一度、お試しください。

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