−たわわなるムラサキシキブや恋の道−
誰もが知っている平安時代の貴族社会の恋愛・権力などが描かれた『源氏物語』。この作者と同じ名前を持つ花は、紫の実がいっぱい付く意味の「紫敷き実:ムラサキシキミ」が転じてムラサキシキブになったそうです。
『源氏物語』は、日本文学に名を残す54巻からなる長編物語。文字数はおよそ100万字。400字詰めの原稿用紙2400枚分だそうです。主人公光源氏に関わる桐壺や夕顔を始めとする、登場人物500名に及ぶ大作です。
--時代を平安から令和に戻しましょう--
“ブルーボネット”に秋の風が吹くこの時期、ムラサキシキブが宝石の様な鮮やか実をたくさん付けます。対生している葉の付け根に群がって付くのが特徴。全国の山地に自生し、秋が深まると紅葉し、葉と紫の実がとても綺麗です。赤い実を付ける植物はたくさんありますが、紫の実は珍しく、観賞用の庭木として人気があります。
育て方ですが、花や実を長く楽しむために半日陰で管理しましょう。暑さや寒さに強いので、防寒対策は特に必要ありません。水やりは、朝夕たっぷりと。水が切れると葉が枯れるので特に夏場は要注意です。肥料は、地植えの場合は、冬場に油かすを根元に与えると翌年の生育が良くなり、きれいな花を咲かせてくれます。
ムラサキシキブの種類には、コムラサキがありますが、木の丈や葉の形、実の付き方が少し違うだけなので一見同じように見えます。購入時にプランツタグには「ムラサキシキブ」と書いてあっても「コムラサキ」の場合がある様です。もし気になる様でしたら、お店の人に聞くといいでしょう。
実は“ブルーボネット”には白い実を付けるシロシキブも咲いています。わかりにくいかもしれませんが、気を付けて探してみてくださいね。
ムラサキシキブの花言葉は「聡明・上品・愛され上手」。「聡明」は作者の紫式部の人物から、また「上品」や「愛され上手」は主人公の光源氏にちなんでつけられたと言われています。
別名「紫の物語」とも言われる『源氏物語』。秋の夜長、この機会に遥か昔の平安京に思いを馳せ、宮廷の恋物語に触れるのもいいかもしれません。
